Entries

S.R.&R.L. 2-4-4 No.9 【珊瑚HOナロー】

a10_trim_srrl9_P1010382_re.jpg
▲オプションのスノープロウを取り付けた姿の完成見本(珊瑚模型店にて撮影)

2016年4月発売
価格:ベースキット 36,000円

No.18につづく蒸機のキットとして2016年3月27日の『スワップミート同窓会』にて発売が予告されていたが、実際には一週間遅れて4月3日に店頭リリースとなった。
メイン2フーターの象徴ともいえる “FORNEY”(フォーニィ)タイプのロコは、珊瑚の『サンデーリバー・シリーズ』では初めての製品化。また、1980年代のパンフレット(=『サンデーリバーの仲間達』)掲載から三十数年越しで製品化が実現したという点でも感慨深いものがある。

実車は、複数の鉄道の統合により誕生したSR&RL鉄道の初の新製蒸機として、1909年にボールドウィン(BLW)で製造された先輪付=軸配置2-4-4のフォーニィ。
メイン2フーターにおいては、2-4-4の罐は合計8輛が存在したが、これらをざっくりとフレーム型式・弁装置・従台車の形態にて分類すると以下の通りとなる。

・インサイド/スチブンソン/アーチバー
 B&SR No.5 (Portland Co./1906)
 B&SR No.6 (BLW./1907)
 SRRR No.16 → SR&RL No.8 (BLW/1907)
・アウトサイド/スチブンソン/アーチバー
 WW&F No.7(BLW/1907)
・アウトサイド/スチブンソン/イコライザー
 SR&RL No.9 (BLW/1909)
・アウトサイド/ワルシャート/イコライザー
 SR&RL No.10 (BLW/1916)
 B&SR No.7 (BLW./1913)
 B&SR No.8 (BLW./1924)

こうしてみると、SR&RL No.9は実は少数派の仕様だと判るが、弁装置が模型的にはシンプルな造りで済むスチブンソン式であることや、パーツの流用の点でも有利なことから元々の製品化候補にも上がっていたのだろう。
No.9は1936年に解体されてしまい存在しないが、メインの2-4-4フォーニィは、B&SR No.7・No.8の2輌がイダヴィルでの活躍を経て今なおメインナローゲージ ミュージアムに保存されている。これらの2-4-4は、2ftのフォーニィとしては大柄なことから、極端に躯体の長い客車たちを従えてもそれほど違和感はないのが美点といえる(むろん、小さな0-4-4に長い客車の組み合わせもそれはそれで独特の魅力があるのだが)。

製品は、この罐の概ね1920年代以降の姿を再現している。実機は1919年末にヘッドライトを油灯から電灯に改め、1920年末にエアブレーキ装着およびキャブを鋼板張り化、さらにそのあと(少なくとも1921年半ば以降)に炭庫をオリジナルのフレア型から変更し、後部にハシゴを設けた。しかし1935年撮影の写真ではハシゴが撤去されているため、総合すると1921~1935年の間の姿だということができる。
キット全体の構成をみると、さすがに新規製作のパーツはエッチング抜やロストの比率が高まっている印象。特に、ロッドが今までのドロップからエッチング抜に変わり、その分強度も落ちるため、動力調整の際は要注意。
ロストパーツは珊瑚のHOナローのキットとしては今までにない点数の多さ。その大半は現代的な仕上りであるものの、ダミーのアウトサイドフレームだけは、ダックス用のプラ製を切り継いだとおぼしき原型の荒れと歪みが目立つのが難点。
動輪のWBは16mm。車輪関係は概ね18号機と共通で、動輪は軸箱支持のφ9プレート車輪、先輪はφ6の両絶、従台車はイコライザー形(ドロップ製)の枠にφ6.0の片絶プレーン軸車輪。ただし、動輪のカウンターウェイトは新規製作の扇形(ロスト製黒染済)である。
伝導はキャブに横置きしたモーター(マシマS16〔M-16K〕)からアイドラーを介して第2動輪を駆動、第1動輪へはロッド連動。ギヤはM0.3でアイドラーはデルリン製左24枚ヘリカル、動輪は真鍮製右24枚ヘリカル。モーターは軸がやや長めでウォームも打込み済。
集電は、動輪は前進右側車体アースだが、絶縁側は動輪に集電ブラシを当て、さらに従台車も車体とは絶縁のうえ前進左側から集電するようになっている。動輪の集電ブラシ(燐青銅製)は、板を円弧状に抜いて車輪の裏に当てる、イモンの木曽BLW用などに類似した形状。
従台車の構造はボルスタ中央で回転するのみであり、このままでは模型としてのフォーニィの泣き所である“直線番長”化は避けられず、運転本位で作るのなら色々と創意工夫がいる。
いずれにせよ、手直しを重ねながら慎重に組んでゆく必要があるキットであるのは間違いない。


▲完成見本を別角度から。実車の印象に近づけるなら、煙突やドームのバランス、キャブの窓柱の太さなどに手を入れたいところ。(珊瑚店頭にて撮影)

 
▲試作中の足回り。集電ブラシの形状に注目。(2016年 スワップミート同窓会会場にて)

a12_trim_re2_srrl9-kit_P1010075.jpg
▲キットの内容

a8_sango-ai_srrl-9_p1.jpg a8_sango-ai_srrl-9_p2.jpg
▲組立説明書はB5判片面2枚。1枚目の側面図はなぜかキャブが木製の姿で描かれており、実際のキットの内容と異なる。

srrl9-box_a8_trim_P1010040_kt.jpg
▲キット箱



▼キットの発売と前後して、以下のディテールパーツ類が別売されている。
ベル: 400円/クリーニングホール: 800円/逆止弁側面用:1,000円/砂マキ元栓2連: 800円/バタフライスクリーン:300円
バタフライスクリーン以外はすべてキットにも含まれるパーツ。