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ダックスII 【珊瑚HOナロー】

Special Thanks: Toby Kawa
発売初年:1983年
(広告:TMS421号['82年10月号]初出/製品紹介:TMS426号['83年2月号]、とれいん98号['83年2月号])
発売当初価格 ベースキット(Bキット):16,000円
初代“ダックス”の発売からちょうど10年を経た1983年に発売されたもの。品名からすると単純にダックスの改良製品と取れるが、ラインナップはテンダー機のみで、実質的には当時商品展開中だった『サンデーリバー・シリーズ』のSR&RL18号機の派生製品といってもよい内容であった。
初代のテンダー機が“メイン2フーターの初期のモーガル機”を模したものであることは以前の記事でも触れたが、この『II』ではよりプロトタイプ寄りのモディファイがなされている。 具体的には、Sandy River Railroad(SRRR)の2号機をベースにしつつ、サンドドームを前方に寄せた形態といえようか。
そしてSRRRの2号機は、SR&RL18号機のリビルト前の姿でもあるがゆえ、先行して発売された18号機とある程度設計の共通化が図れるわけで、実際に足回り(フレーム、動輪、テンダー台車等)は同じパーツが用いられている。
製品全体の構成は、“ダックスの改良”という意味で見ればほとんど新規の設計となっている。初代と同じパーツはロッド、クロスヘッド、煙室扉、プラ製のアウトサイドフレーム、テンダーの上回りくらいだが、ロッドは表面のディテールが略され、クロスヘッドは洋白に材質変更、煙室扉もドロップの金型は同じだが薄手の仕上げに改められている。
足回りに関してはSR&RL18号と重複する点も多いが、一通り記しておく。
WBは従来と同じ13+11mmだが、動輪径はφ8からφ9へ、タイヤ幅も1.5mmから2.0mmへサイズアップ、フレームの板厚はt1.2からt0.8へと薄くなり軸受は軸箱支持となっている。動輪が変わったことでシリンダブロックの幅が従来よりさらに1.5mm広くなってしまい、プロポーションに影響を与えている辺りは好みが分かれるところ。
モーターは、全長の短いキャブに横置きで収めるために、当時中村精密のNゲージ蒸機(C56・C12)に使われていたのと同じ並木精密宝石の10x13mmコアレスを採用。モーターの固定は、本体に切られたネジにφ5のナットで台座へ締め付ける。モーター軸とウォーム間の伝導はゴムチューブによる。
ギヤはM0.3、アイドラーはデルリン製左24枚ヘリカル、第2動輪に真鍮製右24枚ヘリカルで第1・第3動輪へはロッド連動。先輪はφ6の両絶、テンダー台車は枠がドロップ製のイコライザ型で車輪がφ6.0の片絶プレーン軸。
集電は初代と異なり、一般的なHO・16番の真鍮製蒸機のようにエンジンとテンダーでそれぞれ車体アースとする。
上回りについては、キャブがエッチングの折り曲げ構成。弁室、灰箱、テンダーの端梁がホワイトメタル製、カウキャッチャーはロスト製。それ以外はおおむねプレスないしは表面エッチング加工のプレス抜と挽物による。
スチームドームは2ピース構成となっていて、上面の安全弁と汽笛の孔の位置関係を正しく決めることができる。
動力の改良のおかげで、初代にくらべれば“走る”ように組むことは容易になった。しかし、プラ製アウトサイドフレームの組付けにコツが要る点は変わらないし、モーターが実際には12V耐圧ではない(一説では3Vとも)ため、運転時に過度の負荷を与えるのは禁物である。あと、スライドバーが初代製品にあったバルブロッドが略されたことで折れやすい点も要注意。
なお、発売当時の雑誌(とれいん98号)には、“海外からの要望にこたえての再生産”という記述があるが、実際にFlying Zooの手によって輸出が図られた。輸出向は品名を『BALDWIN 2-6-0 “DACHSHUND”』と改め、説明書も専用の英文のものが同梱されていた。

▲斜め上から見る。テンダーの上回り部分は初代と同じだが、左側前端にあったL型のハンドルは省略された。

▲後方から見る。初代のテンダー機と違い、モーターがすっきりとキャブ内に収まる。

▲初代のテンダー機(上)とのサイドビュー比較。動輪の大きさのみならず、各パーツの寸法や位置関係が全面的に見直されているため、プロポーションも思いのほか異なることがお判りいただけよう。

▲動力部分(ジョイントのチューブはノンオリジナル)。集電ブラシが無い分、見かけもシンプルである。

▲裏側を見る

▲キットの内容

▲組立説明書(国内向)

▲組立説明書(輸出向)。説明書は国内向・輸出向ともA3判に片面印刷。

▲キット箱(国内向)。ラベルにはシルエット入り。

▲キット箱(輸出向)。国内向とは品名を変えている。(所蔵:小島正道)

▲コンプレッサーの追加をはじめ、パイピングの充実を図った仕上例。(製作:小林吉成/所蔵:栗島松雄)
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