Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

-件のコメント

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

-件のトラックバック

トラックバックURL
http://kurikuraz.blog43.fc2.com/tb.php/59-15b9b1ad
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

ダックス(初代) 【珊瑚HOナロー】

a10_trim_P1090703_kt_re2.jpg

発売初年:1973年
(広告:TMS295号['73年1月号]初出/製品紹介:297号['73年3月号] 『the DACHS STORY』記事内)
発売当初価格
ベースキット(Bキット):各8,700円
未塗装キット(Aキット):タンク機 8,200円 テンダー機:9,200円
完成品:12,000円より


わが国で初めて、国産かつ国内向けに供給された本格的ナローゲージ車輛製品として記憶されるべき存在がこの『ダックス』である。
製品自体の内容をひとことでいえば、“ボールドウィンタイプのC型アウトサイドフレーム蒸機”ということになるが、既刊の書物などでも語られているとおり、『87.PRECINCT(87分署)』というアマチュアのモデラーのグループが、珊瑚模型店と『鉄道模型趣味(TMS)』誌に働きかけながら製品化を実現したという点が特筆される。
自ら製品の設計図を起こして珊瑚に製造と発売を依頼し、一方でTMS誌に『the DACHS STORY(ダックス・ストーリー)』と称する連載記事の企画を持ち込んで製品のプロモーションをおこなった。これにより、それまで輸出用の3フィートナローのおこぼれや輸入の欧州製品に頼るしかなかったわが国のナローゲージモデルが、新たステージへと移行することになる。

“ダックス”という名前は、87分署のリーダー格で、のちに乗工社を興すけむりプロの倉持尚弘氏の発案である。
1971年の春、けむりプロのメンバー・内田眞一氏がブラジルを訪問したさいに、偶然出会い撮影した『ペルス・ピラポラ鉄道(EFPP)』という600mmゲージの鉄道に、ボールドウィン製のアウトサイドフレームの古いサドルタンク機がいた。内田氏の持ち帰った写真を見た倉持氏が、その機関車をひと目で気に入り、「まるでダックスフント犬のようだ」ということでさっそく渾名をつける。それだけにとどまらず、周囲のモデラー仲間も巻き込んで、この機関車をHOn2-1/2=1/87・9mmで製品化しナローゲージモデルの世界へファンを誘なおう…と“ダックス・プロジェクト”を立ち上げたのである。
プロジェクトチームのグループ名『87.PRECINCT(87分署)』は、エド・マクベイン原作の人気小説シリーズのタイトルに引っ掛けつつ、当時“16番”の流れを汲む1/80・16.5mmが主流だった日本の鉄道模型の世界にあって、正規のHOスケール=1/87でナローをやることをさりげなく標榜していた。
グループのメンバーやその周辺には、TMS誌に初めてHOn2-1/2のレイアウト『祖師谷軽便鉄道』を発表し、ナローゲージャーの集まり『軽便鉄道同好会』の発起人でもあった橋本 真氏や、『さーくる「軽」』名義でシャープな出来栄えのボールドウィンのサドルタンクを発表した大久保 清氏、のちに珊瑚などで製品設計を手がけることになる並木成夫氏、いまは森林鉄道の研究で名高い西 裕之氏らも加わっていた。

SL7_perus_cover_ass3.jpg
▲交友社『SL』No.7。奥付の発行日は昭和48年2月1日だが、実際には'72年々末にTMS295号〔'73年1月号〕とほぼ同時に店頭に並んだと思われる同誌には、けむりプロの手によりブラジルのペルス・ピラポラ鉄道を紹介した『ペルス鉄道に乾盃!』が掲載され、その記事の中でダックスのパイロットモデルの写真と、TMS誌の『the DACHS STORY』の連載開始についても触れられていた。

a10_trim_reR0018737.jpg
▲さーくる「軽」の大久保 清氏が手がけたHOn2-1/2の2台のBLW0-6-2サドルタンクのスクラッチ作品。手前は『ダックス』のパイロットモデルとして、『SL』No.7や『the DACHS STORY』連載初回の誌面に登場したもので、奥は先んじてTMS290号の誌面を飾ったもの。いずれも、けむりプロの写真にインスパイアされて生まれ、なおかつ『ダックス』誕生への流れに深く関わった作品である。(第4回軽便鉄道模型祭にて)

kigei_ds-cover_73-01_a3.jpg
a6_trim_kigei73-01_p29_sango-ad_kt.jpg
▲『the DACHS STORY』連載初回掲載のTMS誌(295号〔'73年1月号〕)の表紙と、同号掲載の珊瑚広告。ダックスが初めて公に姿を現した号である。

けむりプロのブラジル行からおよそ1年半後、TMS295号〔'73年1月号〕より『the DACHS STORY』の連載が始まる。
初回は『誕生物語』と題し、ボールドウィンの工場で“ダックス”と呼ばれる機関車が生まれてから日本の“石狩軽便鉄道”に出荷されるまで…というストーリーの心象鉄道を披露。その内容は、むろん追って出される実際の模型製品にもリンクさせたものになっていた。
そして'73年の春(恐らく3月頃)に『ダックス』の製品も発売となり、タイミングを合わせてTMS297号〔'73年3月号〕の連載第3回にはキットの紹介と詳しい組立方法の解説が掲載される。そのあとはセクションレイアウトの作例紹介や現代のモジュールレイアウトにも通ずるレイアウトのシステム化の提言などが展開され、306号〔'73年12月号〕まで計8回にわたって掲載された。その後309号('74年3月号)に載せられた読者からの反響(『ダックスを考える』)は否定的な声が目立つ一方、憧れを掻き立てられた若いファンも少なくなかったようで、いずれにしてもひとかどの話題を呼んだことがうかがえる。

『ダックス』の登場をきっかけに、珊瑚模型店はその後製品化するナローの規格を1/87・9mmにシフトし、一方で87分署の製品化活動はナロー専業メーカー『乗工社』に移行する。わが国のHO周辺のスケールのナローは、追ってひかり模型やしなのマイクロ等から1/80・9mmの製品も現れたものの、乗工社と珊瑚が矢継ぎ早に製品をリリースし続けたことで、すっかり1/87・9mmがメインストリームとなった。この流れは、日本の鉄道の実質的な標準軌間である1,067mm(3ft6in)をHOスケールで作る1/87・12mm(HO1067/HOj/HOs)の製品誕生へも繋がっている。

ところで、なぜ1/87・9mmの最初の製品に、ボールドウィンのアウトサイドフレーム機などという日本では馴染みの薄いタイプの車輛を選んだのだろうか。ダックス・ストーリーの連載では「HOn2-1/2の車種が絶対的に不足している現状では、ボールドウィンシステムをキットに反映させて短期間に多機種の車輛を開発し、諸兄の手に届けることに意義があると考え、ダックスを初陣にした次第です」と述べられているが、実際のところは、メンバーに“NARROW GAUGE IN THE ROCKIES”や“the MAINE TWO-FOOTERS”といった洋書の名著に影響された熱心なアメリカ型ナローのファンが多かったことも作用していたに違いない。

a8_dachs_sdl-s_kata_trim_P1090983_kt_re.jpg
▲サドルタンク機(鋼製キャブ装着例)。イメージの源はペルス・ピラポラ鉄道の2代目1号機=Dr.SYLVIO DE CAMPOSであるが、ゲージは9mmとされ、他機種との部品共通化の都合もあってか煙室がやや太く長いため実物とは若干印象を異にする。同様のスタイルの罐はハワイの製糖工場などでもよく見られた。

a8_dachs_sid-w_kata_trim_P1090979_kt_re.jpg
▲サイドタンク機(木製キャブ装着例)。日本にいた罐にたとえれば鉄道聯隊(→岩手軽便)のBLWをアウトサイドにし従輪とコールバンカーを継ぎ足したようなイメージ。

a10_dachs_td_kata_trim_P1050971re.jpg
▲テンダー機。メイン2フーターの初期のモーガル機(S.R.R.R.2号機など)を彷彿とさせるデザイン。モーターの飛び出しをカムフラージュするため、キャブ背面は扉が最初から開いた状態の設計になっている。ベースキット、未塗装キットともテンダー本体は組立済だった。

ダックスの商品構成は『バリエーションシステム』と銘打ち、基本モデルとして0-6-2サドルタンク機、0-6-2サイドタンク機、2-6-0テンダー機の3種類を設定。さらにキャブの木製/鋼製(タンク機のみ)と先輪の有無の選択で、都合10種類に作り分けることを可能とした。
キットは最初から動力部分(シリンダブロック、フレーム、動輪とロッド)が組立済で、上回りをハンダ付によって組むベースキットと、殆ど組立済でドライバーだけで組み上げられる未塗装キットを用意。初回生産では、タンク機のベースキットはサドルタンク/サイドタンクと木製キャブ/鋼製キャブ両方のパーツが同封され、好みの組合せを選ぶようになっていた。あと、珊瑚店頭では完成品も少量販売されたようである。

模型の材質はほぼブラス一辺倒だが、特筆されるのは、アウトサイドフレームをディテール表現と絶縁側のショート防止を主眼にプラスチックの射出成型品としたことである。その金型代は製造上最も高価(当時乗用車が1台買える値段)だったともいう。
パーツの造りは、煙室扉とロッド(洋白製)がドロップ、クロスヘッド・弁室・ガイドヨークの端部・煙室支えの受けがロスト。煙突/煙突座・水タンク蓋・シリンダ・ドーム・安全弁・汽笛・ハンドレールノブ・給水バルブ/テンダー端部の芯材(テンダー機のみ)が挽物。煙室・ボイラー・水タンク(サドル/サイド共)・キャブ側板/妻板・火室下端部・テンダー筐体が表面エッチング加工のプレス。その他の板材は、燐青銅製の導電板を含めすべてプレス。エッチング抜とホワイトメタルパーツは全く無い。
フレームとシリンダブロックの組付けは、ムクの煙室サドルに雌ネジを切り、中央に孔のあいたM2.7の特殊ビスで下から固定。さらにその孔に下から長いM1.4のビスを挿し込んで足回りと煙室下部を固定する。
動力部のホイールベースは13+11mm。フレームはt1.2のガッチリとした厚板で組まれる。
動輪径はφ8の片絶。輪芯は絶縁側が乳白色、非絶縁側はタイヤごとクロムメッキで、アウトサイドフレームゆえ当然その外側にクランクが付く。タイヤ幅がスケールを重視したため1.5mmしかなく、走らせる線路によっては落ち込み脱輪する恐れがあるため、運転のさいはゲージが実測9mmを遵守しているPECOかトミックスを用いるのがよい。
モーターは初期のHOナローの定番であったマブチのキャラメル型。キャブ内に横置きしたそれから第2動輪直上のアイドラーギヤにゴムチューブを介して伝導する。
ギヤはM0.4、アイドラーはデルリン製左14枚ヘリカル、第2動輪に真鍮製右14枚ヘリカル。第1・第3動輪へはロッド連動。
プラ製のアウトサイドフレームはM1.0のビス2本でフレームから突き出した挽物のステーに固定するが、年月の経った品物だと樹脂の収縮もあってフレームへの固定孔や軸孔の位置関係が微妙に合わず、切削修正が必要である。
集電は動輪の絶縁側に燐青銅線の集電ブラシを当てるが、テンダー機も同様の方式のため機炭間の絶縁はされていない。
先・従輪はφ5の両絶、テンダー台車は車輪がφ6.0の片絶ピボット軸、台車枠は珊瑚のHOナロー標準のドロップ製アーチバーだが、枕梁にカプラー台車マウント用の突き出しがあるのが分売品とは異なる。

走行性能は、キャラメルモーターがピーキーかつ非力な一方でギア比は1:14と高く、さらにギア・動輪廻りに摺動部の多い構成がたたり、漫然と組んでもパワーパックのフルスロットル近くでロケットスタート的に走り出すのが関の山である。初のHOナロー製品という栄誉はあれど、走りの点がこの製品の泣き所であったといってよい。いまこのキットを組むのであれば、まずはモーターを黙って現代の製品に替えるべきだが、それでもスムースな運転にはさらに調整や工夫を要する。
また、上回りに関しても、上下の組み付け後に真横から見たとき煙室・ボイラー・キャブの繋ぎ目のところで“ヘ”の字に折れ曲がる傾向があるので、つねにサイドビューの姿勢に注意して調整しながら組み立てるのがポイントである。

初代のダックスは、発売4年後の1977年の再生産を最後に供給が途絶えた。その後同じ名前を冠する製品は、7年後にアウトサイドフレームとロッド以外を全面刷新した『ダックスII』テンダー機の登場まで待たねばならない。

a8_dachs_sdl-s_nu_trim_P1090917re.jpg
a8_dachs_sdl-s_rear_trim_P1090911re.jpg
▲サドルタンク機 斜め上/後方から見る

a8_dachs_sid-w_nu_trim_P1090924re.jpg
a8_dachs_sid-w_rear_trim_P1090913re.jpg
▲サイドタンク機 斜め上/後方から見る

a10_dachs-t_nu_trim_P1050954_kt_re.jpg
a10_dachs-t_rear_trim_P1050969re.jpg
▲テンダー機 斜め上/後方から見る。 テンダーの側枠のリベットはプレスによる打ち出し。

a8_dachs_pu_trim_P1060313re2.jpg
▲テンダー機の動力部分(ジョイントのチューブはノンオリジナル)。足回りのフレーム・シリンダブロック・動輪とロッド廻りは、ベースキット/未塗装キットを問わず組立済で同梱されていた。モーター周りの固定・導電方法に苦心の跡がみられる。
a10_d-tndr_ura_trim_R0048192re.jpg
▲テンダー機の裏側。前進左側の集電は動輪にブラシを当てているため、機炭間の絶縁はされていない。
a8_dachs_sdl_ura_trim_IMG_6697re.jpg
▲サドルタンク機の裏側。従台車の付け根は灰箱の下端に見せかけられるよう台形状の折返しがつく。

a8_d73-pkg_trim_P1050933.jpg
a8_dachs_kit-sdl_trim_P1050903kt_yttn.jpg
a10_sdl-a-kit_trim_P1050905re.jpg
▲'73年発売のサドルタンク(木製キャブ)・未塗装キットの箱とキット内容。黒い粒の袋はミクロウェイト。
箱は木目柄にSANGOロゴマーク無しの橙色ラベル。組立に当たってはTMS誌の『the DACHS STORY』連載第3回(297号〔'73年3月号〕)参照が指示されており、組立図解は同封されていない。(撮影協力:小林吉成)

cb_a12_sango-ai_dachs1_73g-1-2_abe.jpg
a6_sango-ai_dachs1_73w_abe_re.jpg
▲同封のリーフレット『御挨拶/部品表』(草色1枚表裏刷)と、『最終組上げの場合の注意と訂正』(白)。
後者はTMS297号掲載の製作方法記事に関する補足が多岐にわたって記されている。

a8_dachs_anq_cb_trim_R0015986-7re_ara.jpg
▲初回ロットに同封されたユーザー向のアンケート葉書。(所蔵:あららぎ) 製品化希望の選択肢が後年の珊瑚や乗工社の製品ラインナップともある程度重なるのが興味深い。
▼アンケート回答者には後日小売部のパンフレットとともにロスト製の煙突座が進呈された。(提供:かねた一郎)
sango_letter_1974_a8.jpg


a8_dachs_pkg_w_trim_R0047341re_abe.jpg
a8_abe_R0047343.jpg
a10_d-side_a-kit_trim_R0047353re.jpg
sango-ai_dachs1-73abe_re_a8.jpg
▲これも旧ラベルの初期ロットの、サイドタンク(鋼製キャブ)・未塗装キットの箱・キット内容・説明書。(※キット内容画像でパーツが35mm銀塩フィルムの空ケースに入っているのはノンオリジナル。また、最下段右から2個目の先輪パーツはオーナーが別途買い足したもの)
おそらく発売からある程度時間が経ってTMS297号が品切れになったため、図解入りの説明書を追加で用意したものと思われる。(所蔵:阿部高夫)

a6_trim2_sango_tms77-06_ad_.jpg
▲'77年再生産時のTMS348号〔'77年6月号〕広告(部分拡大)。掲載の価格は未塗装キットのものだが、間に第1次オイルショックを経ていることもあり値上り幅が著しい。オプションパーツとしてロスト製のカウキャッチャー(後年の『ダックスⅡ』にも使用)が新規に発売。

a8_dachs_pkg_g-t_trim_R0048108re.jpg
a8_dachs_pkg_w-sil_trim_P1070723re.jpg
▲'77年再生産時の箱。基本的には金箱+SANGOロゴ・機体シルエット入のラベルだったが、箱が木目柄のものも存在した(写真の物は、木製キャブを示す『W』が捺印されている)。

a10_dachs_kit-t_trim_P1050873re.jpg
▲再生産品のテンダー機の『未塗装キット』の内容。16番の全盛期に主流だった、“ドライバーとヤットコで組み立てられる”真鍮キットのスタイル。

sango-ai_dachs1_rerun_a8.jpg
▲再生産品に添付の説明書は、以前の組立図をレイアウトし直しSANGOロゴ・品名・社名住所を加えたこれ一枚だけとなった。


a10_kuri-cjm_trim_P1070798re.jpg
▲組立加工作例。どちらもペルス鉄道風を意識した塗装仕上げ。 (製作 左:中部浩佐/右:栗島松雄)

a10_moro_dachs_trim_R0018640_re.jpg
▲こちらはメキシコ風を謳った作例。キャベジ・スタックと屋根上の工具箱がアクセント。(製作:諸星昭弘)
.    
関連記事
スポンサーサイト

0件のコメント

コメントの投稿

新規
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

0件のトラックバック

トラックバックURL
http://kurikuraz.blog43.fc2.com/tb.php/59-15b9b1ad
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)

Appendix

プロフィール

kurikura

Author:kurikura
極北ナローモデラーの溜まり場・クリッターズクラブであります。
主管理者:cjm
連絡先:kurikuraz★gmail.com(お手数ですが★を@に替えて下さい)
■管理者ページ
   

最新記事

検索フォーム

まとめ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。